ゲームはどう作られる?企画から発売・アップデートまで
アイデア一つが実際のゲームになるまで、企画、プロトタイプ、制作、アルファ・ベータテスト、発売審査、発売後のアップデートへと続くゲーム開発の流れを段階ごとに説明します。
1本のゲームが世に出るまでには、思ったより多くの段階を経ています。画面に見えるのは完成した結果だけですが、その裏には数えきれないほど捨てられたアイデアや試作版、修正されたバグがあります。一人で数か月で作る小さなゲームもあれば、数百人が何年もかけて作る大作もありますが、たどる流れは意外と似ています。
この記事では、ゲーム開発を企画、プリプロダクションとプロトタイプ、本制作、テストとマイルストーン、発売準備と審査、発売後の運営という順に分けて見ていきます。各段階で誰が何をするのか、なぜその段階が必要なのかに焦点を当てました。
ゲームを作る人たち
まず、誰がゲームを作っているのかを見てみましょう。チームの規模によっては一人が複数の役割を担うこともありますが、基本的な役割はおおむね次のとおりです。
| 役割 | 仕事 |
|---|---|
| プランナー(デザイナー) | ルール、システム、レベル、バランス、ストーリーの設計 |
| プログラマー | ゲームロジック、エンジン、サーバー、ツールの開発 |
| アーティスト | キャラクター、背景、UI、アニメーション、エフェクト |
| サウンド | 音楽、効果音、ボイス |
| QA(テスター) | バグの発見、再現手順の整理、品質確認 |
| プロデューサー | スケジュール、人員、予算の管理とチーム間の調整 |
大きなプロジェクトでは、これに開発資金を支援し、マーケティングや流通を担うパブリッシャーが加わります。パブリッシャーは段階ごとの目標(マイルストーン)を定め、開発会社がそれを達成するたびに次の段階の費用を支払うことが多くあります。
第1段階:アイデアと企画
すべてのゲームは「こんなゲームがあったら面白そうだ」という一行から始まります。これをハイコンセプトと呼び、ゲームの核心を短い文で説明したものです。その後、このアイデアを投資家やパブリッシャー、あるいはチーム内部に説明するピッチを経て、ジャンル、対象プラットフォーム、対象プレイヤー、核となる面白さ、おおよその規模を整理します。
この段階で大切な問いは、「プレイヤーが繰り返し行う行動は何で、それはなぜ面白いのか」です。パズルゲームなら1問を解く過程、アクションゲームなら敵と戦う数秒がこれに当たります。この核となる繰り返しの構造を、よくコアループと呼びます。
企画内容はゲームデザインドキュメント(GDD)にまとめます。かつては数百ページの文書を最初にすべて書き上げることもありましたが、最近は開発しながら修正し続ける、生きた文書として使うことが多くなっています。
第2段階:プリプロダクションとプロトタイプ
本格的に多くの人とお金を投入する前に、アイデアが本当に面白いかを確かめる段階です。ここで作るのがプロトタイプです。グラフィックは四角と丸だけでもかまいません。目的はきれいな画面ではなく、核となる面白さを検証することです。
プロトタイプを遊んでみて面白くなければ、方向を変えたり、思い切って中止したりすることもあります。この時点で諦めるほうが、何年も後に失敗するよりずっと安く済むからです。この段階では、どのゲームエンジンを使うか、アートスタイルをどうするか、スケジュールと人員はどのくらい必要かといった大きな決定もあわせて行います。
プロトタイプの後には、よくファーストプレイアブルやバーティカルスライスを作ります。ゲームの一部、例えば1ステージ分を最終品質に近い形で完成させてみるものです。これを見れば、完成品がどのような姿になるか、残りを作るのにどれくらいかかるかを見積もることができます。
第3段階:本制作(プロダクション)
方向が決まると、最も長い段階である本制作が始まります。プランナーはレベルや数値を埋め、プログラマーは機能を実装し、アーティストはキャラクターや背景を大量に作り、サウンドチームは音楽や効果音を付けます。
この段階の難しさは、各分野の作業が互いにかみ合っている点にあります。キャラクターモデルができなければアニメーションを付けられず、システムが完成しなければバランスを調整できません。そのため、ほとんどのチームは短いサイクルで目標を決めて結果を点検する方法で仕事をします。毎回実際に動くビルドを作り、チーム全体が同じ状態を確認することも重要です。
制作中も企画は変わり続けます。作ってみて面白くない部分は削り、時間が足りなければ優先度の低い機能を外します。何を入れるかより何を削るかを決めるほうが難しい、と言われるのはそのためです。
第4段階:アルファ、ベータ、そしてテスト
開発の進み具合は、通常いくつかのマイルストーンで区切ります。
- アルファ:主要な機能がすべて入り、最初から最後までプレイできる状態です。グラフィックやサウンドはまだ未完成のことがあり、機能もテスト結果によって変わる可能性があります。
- ベータ:機能とコンテンツがすべて入った状態で、ここからは新しい機能を入れるよりもバグの修正に集中します。
- ゴールドマスター(リリース候補):発売用に確定した最終ビルドです。パッケージ販売の時代には、このビルドでディスクをプレスしていました。
QAチームはこの過程を通じてゲームを繰り返しプレイしてバグを探し、どうすれば再び起こるかを整理します。一か所を直したら別の場所が壊れることもよくあるため、すでに確認した部分を再点検するリグレッションテストも重要です。外部のプレイヤーを集めて行うクローズド・オープンベータテストでは、バグだけでなく、難易度、サーバー負荷、プレイヤーの反応も確認します。
発売日が近づくと多くの作業が一度に集中し、長時間労働、いわゆるクランチが発生することもあります。業界でも長く問題視されてきており、スケジュールに余裕を持たせて範囲を調整しようとする取り組みが続いています。
第5段階:発売準備とプラットフォーム審査
ゲームが完成したからといって、すぐに販売できるわけではありません。発売するプラットフォームと国の手続きを経なければなりません。
- プラットフォーム審査:家庭用ゲーム機のゲームは、メーカーの技術要件を満たす必要があります。モバイルゲームはAppleのApp Store審査ガイドラインとGoogle Playのポリシーを守らなければならず、違反すると発売を拒否されることがあります。
- 年齢レーティング:国ごとのレーティング機関やIARCのアンケートを通じて年齢レーティングを取得します。
- ローカライズ:複数の言語で発売するなら、翻訳だけでなく文化に合わせて表現を整える作業が必要です。
- ストアページとマーケティング:紹介文、スクリーンショット、動画、発売日の告知を準備します。
最近は、正式発売前に一部のプレイヤーに先行販売する早期アクセス(アーリーアクセス)も一般的です。Steamは2013年3月にこのプログラムを始め、その後多くのインディーゲームがプレイヤーの意見を取り入れながらゲームを完成させる方式を選びました。モバイルゲームでは、一部の国だけで先に発売するソフトローンチで反応を見ることもあります。
第6段階:発売後、アップデートとライブ運営
かつてはディスクをプレスすれば開発は終わりでした。今は発売が終わりではなく、新たな始まりであることが多くなっています。実際のプレイヤー数万人が遊べば、テストで見つからなかったバグが出てくるものなので、発売直後にはパッチが続きます。
オンラインゲームや基本無料のゲームでは、発売後の運営が開発と同じくらい重要です。新しいコンテンツやイベントを定期的に追加し、プレイデータを見てバランスを調整し、コミュニティの意見に対応します。このようにサービスを続けていく方式をライブ運営と呼びます。反対に、ストーリー中心のゲームはバグ修正といくつかの追加コンテンツで締めくくることもあります。
まとめ:作って、試して、直すことの繰り返し
ゲーム開発の流れを段階に分けて説明しましたが、実際には一方向にだけ進むわけではありません。制作中に企画に戻ることもあれば、ベータテストの結果を見て核となるシステムを作り直すこともあります。結局のところ、ゲーム開発は「作ってみて、試してみて、直すこと」を果てしなく繰り返す過程です。
好きなゲームのエンディングクレジットが長く続くのもそのためです。次にゲームを遊ぶとき、今押しているボタン一つ、流れていく画面一つにもこうした過程が積み重なっていることを思い出してみると、ゲームが少し違って見えるはずです。