まちがいさがし・隠し絵さがしの歴史と上手な解き方
子ども向け雑誌の隠し絵さがし、『ウォーリーをさがせ!』、バーのタッチスクリーンゲーム、モバイルアプリへと続く「さがすパズル」の歴史と、人の目が違いを見落とす理由、すばやく見つけるコツをまとめました。
新聞の片隅に載った2枚の絵を見比べながら違うところに丸をつけた思い出や、雑誌の込み入った絵の中に隠れたスプーンや傘を探した思い出は、多くの人が持っているはずです。まちがいさがしと隠し絵さがしはルールがシンプルで誰でもすぐに始められ、すべて見つけたときの爽快感も大きいため、長く愛されてきました。
この記事では、二つの「さがすパズル」が紙の雑誌や絵本からビデオゲーム、モバイルアプリへと移ってきた過程を見ていき、人の目がなぜ違いを見落としやすいのか、そしてより早く見つけるにはどうすればよいのかをまとめます。確認できる記録だけを扱っているため、誰が最初に作ったのかがはっきりしない部分は、そのように記しています。
二つのパズルは何が違うのか
似ているように見えますが、二つのパズルは探す対象が異なります。
| 区分 | まちがいさがし | 隠し絵さがし |
|---|---|---|
| 英語名 | Spot the difference | Hidden pictures / Hidden object |
| 画面 | ほぼ同じ2枚の絵 | 込み入った1枚の絵 |
| 目標 | 決められた数の違いを見つける | リストにある物を見つける |
| 中心となる能力 | 比較と記憶 | 形の認識と集中 |
| 代表的な媒体 | 新聞・パズル雑誌、タッチスクリーンゲーム | 子ども向け雑誌、絵本、アドベンチャーゲーム |
まちがいさがしは、絵や写真を少しずつ変えた2枚を並べて置き、違いを見つけるパズルです。韓国では「違う絵さがし(다른 그림 찾기)」とも呼ばれます。隠し絵さがしは、1枚の絵の中に物の輪郭を巧みに紛れ込ませ、それを探させるパズルで、新聞や雑誌ではクロスワードパズルと一緒に掲載されることが多くありました。
紙の上での始まり:子ども向け雑誌とパズルブック
まちがいさがしが正確にいつ初めて登場したのかについては、はっきりした記録がありません。子ども向けの活動ブックや新聞のパズル欄など、さまざまな媒体で昔からよく使われてきたということが確認できる程度です。
隠し絵さがしは、比較的記録がはっきりしています。代表的な例が、アメリカの子ども向け雑誌『Highlights for Children(ハイライツ・フォー・チルドレン)』です。
- 1946年6月、教育者のギャリー・クリーブランド・マイヤーズとキャロライン・クラーク・マイヤーズ夫妻が創刊しました。
- 創刊号から現在まで、すべての号に「Hidden Pictures(隠し絵)」のコーナーが掲載されてきました。
- 大きな絵の中に小さな物を隠しておき、子どもたちに探させる方式です。
1990年代には、写真を使った絵本シリーズ『I Spy(日本語版『ミッケ!』)』が登場しました。ジーン・マルゾーロが文を、ウォルター・ウィックが写真を担当し、写真の中の物を韻を踏んだなぞなぞで示して探させました。この本はその後、PCや携帯ゲーム機のゲームにもなりました。
ウォーリーをさがせ!:人を探す絵本
さがすパズルを世界的な現象にしたのは、イギリスのイラストレーター、マーティン・ハンドフォードの『ウォーリーをさがせ!(Where's Wally?)』です。
1986年、ロンドンのウォーカー・ブックスのアートディレクター、デイヴィッド・ベネットがハンドフォードに人でごった返す場面を描いた本を依頼し、準備の過程で、群衆の中に目立つ人物を一人隠そうというアイデアが生まれました。こうして、赤いしま模様のシャツにポンポン付きの帽子、丸いメガネをかけた旅人「ウォーリー」が誕生しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 初版 | 1987年6月25日、イギリスのウォーカー・ブックス |
| 北米での名前 | Where's Waldo? |
| ほかの国での名前 | ドイツ「ヴァルター」、フランス「シャルリー」、イタリア「ウバルド」など |
| 販売 | 2007年までに全世界で7,300万部以上 |
| 翻訳 | 26言語、50以上の国で出版 |
ハンドフォードは、赤いしま模様の入ったほかの物をわざと絵のあちこちに描き込み、読者を惑わせました。シリーズが続くにつれて、ウォーリーの仲間たちや、黄色いしま模様の服を着たライバル「オドロー」のように、探す対象も増えていきました。1991年にはアニメになり、その後ビデオゲームにもなりました。
画面へと移ってきたさがすパズル
コンピューターやタッチスクリーンが普及するにつれ、さがすパズルはゲームのジャンルになりました。
- 1991年 CD-i向けに『Mother Goose: Hidden Pictures』が発売されました。初期の隠し絵さがしゲームとして挙げられます。
- 1997年以降 Scholasticが『I Spy』の本をゲーム化しました。
- Photo Hunt(フォトハント):アメリカのバーやレストランに置かれていたMerit Entertainmentの「Megatouch」タッチスクリーンゲーム機に収録されていたまちがいさがしです。ほぼ同じ2枚の写真から5か所の違いを、制限時間内に指でタッチして見つける方式で、その後iPhone向けにも登場しました。
- 2005年 Big Fish Gamesの『Mystery Case Files: Huntsville』が登場し、カジュアルゲームブームとともに隠し絵さがしゲームの型を作りました。物語や探偵の設定をまとった「隠し絵さがしアドベンチャー(HOPA)」は、このころから大きく増えました。
- 2017年 オランダの開発者エイドリアン・デ・ヨングとシルヴァン・テグロエグが作った『Hidden Folks』は、白黒の手描きの絵の中で動く人や物を探すゲームで、『ウォーリーをさがせ!』のような「さがす絵本」をゲームに移した例です。
画面に移ったことで生まれた変化もあります。拡大機能で小さな部分を見られるようになり、虫めがね・ヒント・時間延長といった手助けの機能が加わり、正解をタッチするとすぐに表示されるので、答えのページをめくって確かめる必要がなくなりました。
人の目はなぜ違いを見落とすのか
2枚の絵を見比べると明らかに違うのに、しばらく見えないことがあります。心理学では、これを変化盲(change blindness)と呼びます。
変化盲とは、目の前の場面が変わっても気づかない現象です。たとえば、絵が一瞬点滅してから再び現れると、人はかなり大きな違いもよく見落とします。1990年代半ば、レンシンク、オリーガン、クラークの研究チームは、絵→空白の画面→少し変えた絵を交互に見せる実験で、この現象を体系的に示しました。
変化盲が起きる主な理由は次のとおりです。
- 注意が向いていない場所の変化は記憶されにくくなります。
- 視線を移す間に起きた変化は点滅のように作用し、見落としやすくなります。
- 重要そうに見えず、コントラストが低い部分の変化は、より見落とされやすくなります。
まちがいさがしは、まさにこの弱点を利用したパズルです。2枚の絵の間を行き来して視線を移す瞬間が「空白の画面」の役割を果たすため、違いがあっても脳が「同じだ」と見過ごしてしまうのです。
まちがいさがしを上手に解くコツ
- 区画に分けて見る:絵を頭の中で4〜9マスに分け、1マスずつ比べます。一度に全体を見ると、変化盲に陥りやすくなります。
- 端や背景もしっかりと:視線はまず中央の主役に向かうため、縁や背景にある違いは比較的見落としやすくなります。
- 変わりやすいものを確認する:色、数(ボタン・窓・しま模様)、向き(時計の針・矢印)、あるかないか(影・文字)を、チェックリストのように確かめます。
- 重ねて見る:2枚の絵を並べ、目の焦点をわざとぼかして2枚を一つに重ねると、違う部分がちらつくように見えるという方法が知られています。立体視(マジカルアイ)を見る方法と似ています。
- 少し休む:長く見続けると脳が絵に慣れてしまい、かえって見えなくなります。数秒目をそらしてから見直すと、新たに見えてくることがよくあります。
隠し絵さがしを上手に解くコツ
- 先にリストを覚える:探す物の形を頭の中に思い描いておくと、絵を見渡したときにすぐ引っかかります。
- 大きさを変えて考える:隠れた物は実際の大きさとは関係なく、絵の中のほかの物の大きさに合わせて描き込まれています。歯ブラシが木と同じくらい大きいこともあります。
- 向きを変えてみる:隠れた物は横に寝ていたり、逆さまに隠れていたりすることがよくあります。画面を回したり、首を傾けたりしてみましょう。
- 輪郭線をたどる:色よりも線を見ます。葉の筋、服のしわ、雲の形などに物の輪郭が紛れ込んでいることがよくあります。
- 見つけた場所は除外する:すでに確認した区画は頭の中で消していき、範囲を絞り込みます。
おわりに
1946年の子ども向け雑誌の一コーナーから始まり、絵本、バーのタッチスクリーン、モバイルアプリまで、さがすパズルは媒体を変えながら絶えず愛されてきました。人の目が持つ弱点を楽しい挑戦に変えた遊びであることが、その秘訣なのでしょう。
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