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たまごっちと育成ゲーム(バーチャルペット)の歴史 – デジモン、nintendogs、マイ・トーキング・トムまで

1996年のバンダイ「たまごっち」から、デジタルモンスター、nintendogs、マイ・トーキング・トムへと続くバーチャルペットゲームの歴史と、時間の流れ・お世話ループ・愛着を軸にしたジャンル設計をまとめました。

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バーチャルペット(仮想ペット)ゲームは、画面の中の生き物にごはんをあげ、きれいにし、遊んであげながらお世話をするゲームです。敵を倒したりゴールを目指したりする代わりに、「この子は元気にしているか」がプレイの中心にあります。はっきりした勝ち負けがないにもかかわらず、多くの人に毎日端末を開かせるという点で、ほかのジャンルとは少し違った形でプレイヤーを引きつけます。

この記事では、コンピューター画面の中のペットから始まり、1996年のバンダイ「たまごっち」、戦うペットだった「デジタルモンスター」、ニンテンドーDSの「nintendogs」、スマートフォンの「マイ・トーキング・トム」へと続く流れを順に見ていきます。最後に、このジャンルを形づくる三つの設計要素である時間の流れ、お世話ループ、愛着を整理しました。

ひと目でわかる概要

年作品会社特徴
1995DogzPF.MagicPC画面の中の犬。のちにPetzシリーズへ拡大
1996たまごっちバンダイ(ウィズと共同企画)卵形の携帯機。3つのボタンでお世話するペット
1997デジタルモンスターバンダイ・ウィズ機器同士をつないで戦うペット。デジモンの始まり
2004Tamagotchi Connectionバンダイ赤外線通信を加えたたまごっちの再登場
2005nintendogs任天堂ニンテンドーDSのタッチスクリーンとマイクを活用
2010Talking Tom CatOutfit7話した言葉をまねする猫のアプリ
2013マイ・トーキング・トムOutfit7スマートフォン向けの猫育成ゲーム

たまごっち以前:画面の中の猫と犬

コンピューターの画面に小さな動物を置いておくという発想は、たまごっちより前からありました。マウスカーソルを追いかける猫のプログラム「Neko」は、最も早いデスクトップペットとしてよく挙げられます。ただし当時はまだ「バーチャルペット」という言葉は使われておらず、画面を飾るおもちゃに近いものでした。

本格的に「育てる」体験を提供した作品としては、アメリカのPF.Magicが1995年に発売した「Dogz」が挙げられます。1996年春には猫版の「Catz」が登場し、二つの作品はのちに「Petz」シリーズとしてまとめられました。プレイヤーはPC画面の中の犬や猫をなで、えさをあげ、おもちゃを投げて、その反応を見守りました。

この時期のPCペットは、「本物の動物のように動くキャラクターと心を通わせる」というジャンルの柱の一つを先に示しました。しかし、コンピューターの前に座っているときにしか会えないという限界がありました。この限界を破ったのが、ポケットに入れて持ち歩けるたまごっちでした。

たまごっちの登場(1996年)

たまごっちは、1996年11月23日に日本でバンダイが発売した携帯型のバーチャルペット機器です。企画にはバンダイの真板亜紀さんとウィズの横井昭裕さんが関わりました。名前は「たまご」と「ウオッチ」を組み合わせたもので、最初の構想で腕時計のように身につける機器を考えていた名残が残っています。アメリカでは1997年5月1日に発売されました。

本体はキーホルダーにつけられるほど小さな卵形で、操作は3つのボタンで行います。時計を合わせると画面に卵が現れ、しばらくすると卵がかえって小さな生き物が生まれます。プレイヤーはおなかの具合やごきげんを確認しながら、ごはんやおやつをあげ、ミニゲームで遊び、うんちを片づけ、病気になれば薬をあげ、眠ったら電気を消してあげる必要があります。

たまごっちの最大の特徴は、お世話の仕方によって育つ姿が変わることです。赤ちゃん、子ども、ヤングの段階を経るあいだにどうお世話したかによって、大人になったときのキャラクターの種類が決まります。よくお世話すれば手のかからないキャラクターに、おろそかにすればそうではないキャラクターに育つという形です。そして長い間放っておくと、ペットは死んでしまうことがあります。この「取り返しのつかない結果」が、たまごっちを単なるおもちゃ以上の存在に感じさせた要素でした。

たまごっちは短期間で大ブームになりました。英語版ウィキペディアによると、初代たまごっちは販売期間中に世界で約4,000万個売れ、品薄になるほどでした。しかしブームは1998年ごろに急速に冷め、過剰に生産された在庫のためにバンダイは大きな損失を出しました。

ブームには論争もついて回りました。ペットが授業中にも絶えずお世話を求め、子どもたちがペットの死に強く心を痛めたことから、アメリカや韓国の多くの学校で持ち込みが禁止されました。真板亜紀さんと横井昭裕さんは1997年にイグノーベル賞経済学賞を受賞しており、これもたまごっちが人々の時間をどれほど奪ったかを示すエピソードとして残っています。

戦うペット、デジタルモンスター

たまごっちの成功のあと、バンダイとウィズは男の子向けのペット機器を別に作りました。1997年6月26日に日本で発売された「デジタルモンスター」です。開発中は「おとこっち」という名前で呼ばれていたこともありました。

デジタルモンスターも、ごはんをあげる、うんちを片づける、電気を消すといった基本のお世話はたまごっちと同じです。そこに、トレーニングで強さを伸ばす要素と、2台の機器をつないでお互いのモンスターを戦わせる対戦モードが加わりました。お世話の結果が「どれだけかわいく育ったか」だけでなく、「どれだけ強くなったか」でも表れるようになったのです。

英語版ウィキペディアによると、1997年に発売された初代デジタルモンスターは、2004年3月までに世界で1,400万個売れました。この機器は、その後ゲーム、アニメ、カードゲームへと広がるデジモンシリーズの出発点となりました。1999年1月にはプレイステーション用の「デジモンワールド」が日本で発売され、このゲームもデジモンにごはんをあげ、トレーニングして育てる育成要素を中心に置いていました。

デジタルモンスターは、バーチャルペットが「収集と対戦」の方向へ広がりうることを示しました。モンスターを育てて進化させ、ほかのプレイヤーと競う構造は、その後の多くのモンスター育成ゲームでも見ることができます。

たまごっちの再登場

しばらく落ち着いていたたまごっちは、2004年に新機種で戻ってきました。北米で「Tamagotchi Connection」という名前で発売されたこの機種は、赤外線通信でほかのたまごっちとつながり、交流することができました。バンダイは最初のブームのときの失敗を繰り返さないよう、広告を控えめにして慎重に発売しました。

その後もたまごっちは、カラー画面、ほかの機器との連携、キャラクターの着せ替えといった機能を少しずつ加えながら、新しいバージョンを出し続けています。英語版ウィキペディアは、2025年時点のたまごっちシリーズの累計販売数を9,800万個以上としています。一時のブームで終わらず、日本では子ども向けのおもちゃとして長く定番の座を保ってきた点が目を引きます。

携帯ゲーム機へ:nintendogs

2005年、任天堂はニンテンドーDS用の「nintendogs」を発売しました。日本で先に発売されたあとほかの地域へと広がり、最初は登場する犬種の組み合わせが異なる3つのバージョンで発売されました。

nintendogsは、DSのハードウェアをお世話の行動と直接結びつけました。タッチスクリーンをこすると犬をなでたり、ボールやフリスビーを投げたり、毛をブラッシングしたりできます。マイクに向かって名前を呼ぶと犬が反応し、「おすわり」などの言葉を繰り返し聞かせると芸を覚えます。ボタンのメニューから「ごはん」を選ぶ方式と比べて、手と声で直接お世話をする感覚がはるかに強くなりました。

時間の流れも、本体の時計とカレンダーを使います。ゲームをつけていない間も時間が経ち、犬はおなかがすいたり汚れたりします。ただし、たまごっちと違ってnintendogsの犬は年を取ったり死んだりしません。お世話をしないと状態は悪くなりますが、取り返しのつかない結果はないように作られています。散歩やディスク大会、アジリティ大会といった目標を加えて、毎日やることも用意されていました。

nintendogsは大きな成功を収めました。英語版ウィキペディアによると、全バージョンを合わせた販売本数は2016年3月31日時点で2,396万本で、ニンテンドーDSのゲームの中で2番目に多く売れました。2011年にはニンテンドー3DS用の続編「nintendogs + cats」が発売されました。

スマートフォン時代のペット育成

スマートフォンは、バーチャルペットにとても合った端末でした。いつも持ち歩き、通知を送ることができ、タッチスクリーンとマイクとカメラがすべてそろっているからです。

スロベニアのOutfit7は、2010年6月26日に「Talking Tom Cat」を発表しました。ユーザーが話すと、灰色の猫トムが高い声でまねをするシンプルなアプリでした。このアプリは最初は育成ゲームではありませんでしたが、2013年11月11日に登場した「マイ・トーキング・トム」で本格的な育成ゲームになりました。プレイヤーは子猫のトムにごはんをあげ、トイレに連れて行き、ミニゲームで遊び、眠そうならベッドに寝かせて、大人の猫に育てます。2018年には続編「マイ・トーキング・トム2」が登場しました。

モバイルのペットゲームは、無料でダウンロードしてゲーム内通貨で服や家具を買う形が多く見られます。ミニゲームや広告視聴でコインを集め、レベルが上がると新しい着せ替えアイテムが解放されます。お世話ループの上に、着せ替えや収集、報酬の仕組みを重ねた形だといえます。一方で、若いユーザーの多いジャンルだけに、広告の運用が問題になることもありました。2015年にイギリスの広告基準協議会(ASA)が、このゲームで子どもに不適切な広告が表示された事例について判断を示したのがその一例です。

ジャンルを形づくる設計:時間・お世話ループ・愛着

さまざまな時代の作品を振り返ると、バーチャルペットゲームはいくつかの共通した設計の上に成り立っています。

時間の流れ

バーチャルペットの時間は、プレイヤーがゲームを閉じている間も流れます。たまごっちは本体の時計を、nintendogsはDSの時計とカレンダーを使いました。そのおかげでペットは「自分がいない間も生きている存在」のように感じられます。同時に、時間をどれだけ厳しく適用するかは重要な選択です。厳しすぎると忙しい日にペットを失い、ゆるすぎるとお世話をする理由がなくなります。

お世話ループ

ほとんどの作品は、「状態を確認する → 必要を満たす → 時間が経つ → また状態を確認する」という短い繰り返しを中心に置いています。おなか、清潔さ、ごきげん、眠気などの数値が時間とともに下がり、プレイヤーがそれを満たします。1回のお世話は数秒から数分で終わりますが、1日に何度も繰り返されます。そこに成長段階、進化、大会、着せ替えといった長期的な目標を加えて、短い繰り返しが退屈にならないようにしています。

愛着

バーチャルペットがほかの育成ゲームと最も違うのは、プレイヤーがキャラクターに感じる愛着です。名前をつけ、声で呼び、なでると反応が返ってくる経験が積み重なることで、ペットは単なる数値の集まり以上の存在になります。たまごっちの時代に、学校が禁止するほど子どもたちが夢中になったのも、この愛着のためでした。

結果の重さ

設計者が最も悩むのは、「お世話をしなかったときに何が起きるか」です。たまごっちはペットが死ぬことがあるようにして責任感を強め、nintendogsは死と老化をなくして状態だけが悪くなるようにして負担を減らしました。結果が重ければ没入感は深まりますが、プレイヤーが疲れて離れてしまうこともあります。軽ければ長く楽しみやすい反面、緊張感は薄れます。どちらが正解というより、誰のためのゲームかによってバランスを決める問題です。

参考資料

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