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ゲームバランスとは:公平さと多様な選択を両立させる方法

囲碁のコミ、チェスの先手の利、スタークラフトの3種族、じゃんけん構造やバフ・ナーフまで。ゲームバランスの核となる概念と実際の調整方法を、インディースタジオの視点でわかりやすく解説します。

#ゲームバランス #ゲームデザイン #バフとナーフ #スタークラフト #囲碁 #インディー開発

パッチノートが公開されると、コミュニティはいつも騒がしくなります。「ついにあのキャラクターが下方修正された」「なぜ自分が使っていた武器だけ弱くなったのか」「今回のパッチでゲームが壊れた」。ゲームバランスはプレイヤーが最も敏感に反応するテーマの一つであり、開発者にとっては終わりのない宿題でもあります。

では、「バランスが良い」とは正確にはどういう意味でしょうか。すべてのキャラクターの能力値が同じなら、バランスが良いのでしょうか。この記事では、ゲームバランスの核となる概念である公平さ、意味のある選択、支配戦略、非対称設計、フィードバックループを順に見ていき、囲碁やチェスからスタークラフトまで、さまざまな事例を通じて開発者がどのようにバランスを取っているのかをまとめます。

バランスの二つの目標

ゲームバランスを一文で要約すると、「公平でありながら、選ぶ価値のある選択肢がいくつもある状態」です。二つの目標は互いにつながっていますが、同じ意味ではありません。

  • 公平さ: プレイヤーが勝ったり負けたりする理由は、主に実力と判断にあるべきです。開始条件や運が結果をあらかじめ決めてしまってはいけません。
  • 多様な選択: 使える戦略、キャラクター、武器がいくつもあるべきです。正解が一つしかなければ、ゲームはその正解を実行するだけの作業になります。

ここでよくある誤解が一つあります。すべての要素の強さをまったく同じにすれば完璧なバランスになりそうに思えますが、実際はそうではありません。すべてが同じだけ強ければ、何を選んでも違いがないので、選択そのものが意味を失います。良いバランスが目指すのは「同じ強さ」ではなく、「異なるけれど同じくらいの価値」です。

意味のある選択と支配戦略

バランスの話で最も重要な概念は「意味のある選択」です。選択肢のどれも効果がなかったり、逆に一つが常に最善だったりすれば、その選択には意味がありません。サイコロの目を選ぶときに6が常に最善なら、悩む理由がないのと同じです。

このように常に最善の結果を出す戦略を「支配戦略(dominant strategy)」と呼びます。支配戦略は、ゲームにとって最も有害な形の無意味な選択です。一つのキャラクターや一つのビルドが強すぎると、人々はそれだけを使うようになり、残りの何十もの選択肢は事実上消えてしまいます。バランス調整の作業の大部分は、こうした支配戦略を見つけ出して取り除くことです。

支配戦略を防ぐ代表的な方法が非推移性(intransitivity)、簡単に言えばじゃんけん構造です。AがBに勝ち、BがCに勝つなら、普通はAがCにも勝ちそうに思えますが、じゃんけんのようにCがAに勝つようにすれば、絶対的な強者は生まれません。多くの戦略ゲームが兵種の間にこうした相性関係を設けているのはそのためです。ただし、単に「CはAに勝つ」と決めておくよりも、射程、速度、コストといった属性の違いから相性が自然に生まれるようにしたほうが、プレイヤーは納得しやすくなります。

対称と非対称:囲碁、チェス、チャンギ、スタークラフト

すべてのプレイヤーにまったく同じ条件を与えるのが、最もシンプルなバランスの取り方です。ポン(Pong)のように完全に対称なゲームは、それ自体で公平です。しかし、交互に手番が回るゲームでは完全な対称は不可能です。先に打つ側が有利か不利のどちらかにならざるを得ないからです。

チェスでは白が先手です。1851年から積み重ねられた統計を見ると、白は一貫してわずかに多く勝っており、勝率はおおむね52〜56%の間に収まっています。

囲碁はこの問題を「コミ」で解決しました。先に打つ黒が有利なので、白に点数を上乗せする制度です。日本ではコミが一時2.5目ほどだったのが、4.5目、5.5目と引き上げられ、日本棋院は従来のルールで黒の勝率が51.855%だったことを根拠に、2002年にコミを6.5目に引き上げました。現在、韓国と日本のルールの標準のコミは6.5目、中国ルールでは7.5目です。コミを0.5単位にしているのは、引き分けを減らすためです。何百年も続くゲームでさえ統計を見て数字を修正してきたという点で、囲碁のコミは最も古い「バランスパッチ」と呼べるでしょう。

チャンギ(韓国将棋)にも面白い仕組みがあります。チャンギでは馬と象の位置を入れ替えて配置できるため、後から配置する側は相手の配置を見て対応できます。そのため大会では、漢が先に駒を並べ、楚がその次に並べ、最初の一手は楚が指します。配置の順番と最初の一手を分け合わせた形です。

非対称設計の代表例はスタークラフト(1998)です。テラン、ザーグ、プロトスの3種族は、ユニットも、建物の建て方も、運用方法もすべて異なります。プロトスは高価で強力なユニットで質を、ザーグは安くて速いユニットで量を、テランはその中間の柔軟さを追求します。それでいて、どの種族も本質的に有利にならないよう、全体の強さをそろえることが目標でした。非対称ゲームは対称ゲームよりもバランスを取るのがはるかに難しいですが、そのぶん多様な試合と戦略を生み出します。

雪だるま式を防ぐ仕組み:フィードバックループ

バランスは開始条件だけの問題ではありません。ゲームが進む間に差がどう変化するかも重要です。

  • 正のフィードバック(positive feedback): リードしている側がさらに強くなる構造です。土地を奪えば資源が増え、資源が増えればさらに多くの土地を奪えます。強すぎると序盤の数分で勝負が決まり、残りは確認作業になってしまいます。
  • 負のフィードバック(negative feedback): リードしている側が負担を背負う構造です。リアルタイムストラテジーの維持費のようにユニットが多いほど税がかかったり、サッカーのように相手陣地の深くに入るほど守る人数が増えたりする場合です。強すぎると引き分けが多くなり、勝負が長引きます。

ほとんどのゲームは、この二つを組み合わせて使っています。RPGのレベル構造が良い例です。強くなるほど強い敵を倒して経験値を早く得られますが、次のレベルに必要な経験値も一緒に増えるため、成長速度が爆発せず、おおむね一定に保たれます。戦略ゲームで新たに占領した土地が本拠地よりも生産力が低かったり、反乱の危険があったりするのも、先行したプレイヤーの雪だるま式の成長を遅らせる仕組みです。

バフとナーフ:バランスを直す手

リリース後にバランスを調整する最も一般的な方法は、「バフ(buff)」と「ナーフ(nerf)」です。バフはある要素を強くする変更、ナーフは弱くする変更です。「ナーフ」という言葉が最初に定着したのはMMORPG『ウルティマ オンライン』で、柔らかいおもちゃの弾を撃つおもちゃブランドのナーフ(Nerf)から取られた表現です。

調整するときによく使われる原則がいくつかあります。

原則内容
一番上から下げる強すぎる要素はほかの要素を役に立たなくするため、真っ先に手を入れる
一番下を引き上げる誰も使わない要素は、使えるようになるまで引き上げる
下方修正より上方修正プレイヤーは一般に、ナーフよりバフに好意的に反応する
間接的な調整対象に直接手を加えず、相手側の要素や周囲のルールを変えて調整する
禁止は最後の手段大会で特定の要素を禁止する方法は、できるだけ避ける

ナーフに慎重になる理由は、プレイヤーの時間と感情がかかっているからです。長い時間をかけて手に入れたアイテムが突然弱くなると、その努力が無駄だったように感じられます。アイテムを売買するオンラインゲームでは、一度のナーフがゲーム内の市場価格まで大きく揺るがすこともあります。

完璧なバランスは目標ではない

興味深いことに、バランスの研究者たちは、少しの不均衡がかえって良い場合もあると言います。ある戦略が流行すると、プレイヤーたちがその戦略に勝つ方法を見つけ出し、その方法がまた流行するというように、「メタ」が自ら動いていくからです。完璧にバランスの取れたゲームでは、検証済みの戦略だけが繰り返され、新しい戦略はトップクラスのプレイヤーしか生み出せなくなるかもしれません。

そのため多くの開発者は、メタが自然に回るように任せつつ、一つの戦略があまりにも長く支配するときだけ介入するという方法を選びます。もう一つ大切なのは、見た目と数値が食い違わないようにすることです。巨大なドラゴンが小さなゴブリンより弱ければ、数値上はバランスが取れていても、プレイヤーはおかしいと感じます。

小さなスタジオのバランス調整

人数の少ないチームは、大型ゲームのように膨大なデータを集めるのが難しいものです。私たちが使っている方法はシンプルです。

  1. 表から始めます。 すべてのユニットと武器のコストと効果を一つの表に並べ、コストに対する効果が突出しているものを先に探します。
  2. 極端な値を試します。 あえて一つのものだけを使い続けるプレイをしてみて、それで最後まで進めるなら、支配戦略があるということです。
  3. 一度に一つだけ変えます。 複数の数値を同時に変えると、何が効果を生んだのかわかりません。
  4. 特定の状況でだけ強い要素に注意します。 特定の状況でしか役に立たないのにコストがほかと同じなら、調整は特に難しくなります。

アクションチャンギは伝統的なチャンギの駒の関係をベースにしているため、新しい操作要素を加えるときも、もともとの駒同士の価値のバランスが崩れていないかを常に確認しています。GRID DEFENSE: GRID WARの核爆弾のような緊急用ツールは、「ピンチのときに流れを一度だけ巻き返す道具」という位置づけを守ってこそ、普段どのタレットをどこに置くか悩む楽しさが失われません。

おわりに

バランスは数字を合わせる作業のように見えますが、実際には選択を守る作業です。プレイヤーが「今度は別のものを使ってみようか」と考えられるゲーム、負けたときに「次は別の戦略で」と言えるゲームこそ、バランスがうまく取れたゲームです。

参考資料

KEKE STUDIOのゲーム

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