アングリーバード:パチンコ一つでスマホゲーム時代を開いた物理パズル
Rovioのアングリーバードはどのように生まれたのでしょうか。パチンコで鳥を飛ばす物理パズルのルールと名作とされる理由、続編や映画へと広がった影響、今遊ぶ方法をまとめました。
アングリーバードは、パチンコ(スリングショット)で怒った鳥を飛ばし、ブタたちが隠れている建物を崩すパズルゲームです。指で引いて離すだけという操作のおかげで子どもから大人まですぐに覚えられ、タッチスクリーンのスマートフォンが初めて広く普及した時期に、最も有名なゲームの一つになりました。
この記事では、アングリーバードがフィンランドの小さな開発会社でどのように作られたのか、基本ルールと鳥たちの能力はどうなっているのか、なぜ今も名作として語られるのか、そして続編や映画、テーマパークにまで広がった影響を順に見ていきます。
ひと目でわかる概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発売 | 2009年12月11日(iOS、フィンランドでは12月1日に先行公開) |
| 開発 | Rovio Entertainment(当時はRovio Mobile)、販売はChillingo |
| プラットフォーム | iOS、Android、ノキア端末、Windows Phone、PC、PSP・PS3など |
| ジャンル | 物理ベースのパズル |
誕生の背景
Rovio Entertainmentは、2003年にヘルシンキ工科大学の学生たちが設立したフィンランドの会社です。アングリーバード以前にすでに51本のゲームを作っていましたが、そのほとんどはエレクトロニック・アーツなど他社の依頼を受けて作った受託作品でした。会社の経営が苦しくなると、自社名義の知的財産を作ろうという方向に舵を切り、2009年3月に開発を始めました。当時、会社にはゲーム一本を作る資金しか残っていなかったといわれています。
数あるアイデアの中から選ばれたのは、デザイナーのヤッコ・イイサロが描いた一枚の絵でした。眉をしかめた翼のない鳥たちが建物を攻撃している場面で、ゲームの遊び方は決まっていなかったものの、チームのメンバーがキャラクターを気に入りました。遊び方は、同じ年に出たパズルゲーム『Crush the Castle』から影響を受けています。
最初に作った試作品を見たテスターたちは、何をすればいいのかわかりませんでした。開発陣は誰でもすぐにわかる仕掛けが必要だと判断し、ありきたりすぎるとして一度は脇に置いていたパチンコを再び持ち出しました。テスターたちは、パチンコなら説明がなくてもすぐに理解できたからです。鳥と戦う敵には緑色のブタが選ばれました。
遊び方
プレイヤーは画面上のパチンコを指で引いて角度と強さを決め、鳥を飛ばします。ブタたちは木、ガラス、石でできた建物の中に隠れていて、決められた数の鳥を使い切る前にすべてのブタを倒せばクリアです。
- 弱点を狙う:ブタに直接当てなくても、柱や支えを崩せば建物が倒れてブタを押しつぶします。
- 鳥ごとに異なる能力:進むにつれて、飛んでいる途中で三つに分かれる鳥、加速する鳥、爆発する鳥など、能力の違う鳥が追加されます。
- 星三つの評価:少ない鳥でクリアするほど、高いスコアと星がもらえます。
- ゴールデンエッグ:隠されたゴールデンエッグを見つけると、ボーナスステージが開きます。
発売当初、最初のエピソード「Poached Eggs」には21レベルずつのチャプターが三つ入っていて、その後も無料アップデートで新しいエピソードと鳥が次々と追加されました。
さまざまな端末への広がり
最初のバージョンはiPhone・iPod touchとノキアN900向けに出て、2010年4月にはiPad専用の「HD」版も同時に発売されました。同じ年の秋に出たAndroid版は、有料ではなく広告付きの無料アプリとして配信されましたが、これは一部の国ではAndroidの有料アプリを購入できなかったためです。Android版は最初の24時間で100万回以上ダウンロードされました。2011年1月にはPSP・PS3向けのミニゲームとWindows版も登場しました。ただし、タッチ以外の操作については評価が分かれました。
なぜ名作なのか
アングリーバードが愛された最大の理由は、タッチスクリーンにぴったり合った操作です。指でゴムを引いて離す動作は本物のパチンコを撃つ感覚に近く、説明がほとんど必要ありませんでした。開発陣は、失敗したときになぜ失敗したのかがわかるように照準の仕組みを磨き、ブロックが崩れる感覚が爽快になるよう何度も調整しました。
また、一回のプレイが短く、結果が毎回少しずつ変わります。同じ角度で撃っても建物の崩れ方が違うので、星三つを取ろうと何度も挑戦したくなります。
成果もはっきりしていました。2010年2月にイギリスのApp Storeで有料アプリ1位になり、数週間後にはアメリカのApp Storeで1位になって、その年の10月までその座を守りました。AppleのApp Storeで有料アプリ1位を維持した日数は合計275日で、この部門の最長記録とされています。発売から1年後の2010年12月には、ダウンロード数が5,000万回を超えました。2011年のウェビー賞では携帯端末向けゲーム部門を受賞し、アングリーバードHDはD.I.C.E.アワードで「カジュアルゲーム・オブ・ザ・イヤー」を受賞して、モバイルゲームとして初めて「ゲーム・オブ・ザ・イヤー」の候補になりました。2026年5月には、世界ビデオゲーム殿堂(World Video Game Hall of Fame)入りを果たしました。
シリーズと影響
アングリーバードの成功は、Rovioを代表するフランチャイズへとつながりました。シーズンズ、リオ、スペースといった特別版が出て、2012年にはブタを主人公にしたスピンオフ『Bad Piggies』、2015年には正式な続編『アングリーバード2』が登場しました。パズル以外にも、レース、ロールプレイング、マッチパズルなどさまざまなジャンルのゲームが作られました。
ゲームの外にも大きく広がりました。2013年にはアニメシリーズ『Angry Birds Toons』が始まり、2016年に『アングリーバード』(The Angry Birds Movie)、2019年に2作目の映画(The Angry Birds Movie 2)が公開されました。3作目の映画は2026年12月の公開を目指して制作されています。Rovioは2023年8月にセガに買収され、その後ソニックシリーズとのコラボイベントも行われました。
今遊ぶには
最初に出たアングリーバードは、2019年にほかの初期作品とともにApp StoreとGoogle Playから配信停止になりました。ファンの要望が続いたため、Rovioは2022年3月に、2012年ごろの内容をUnityエンジンで作り直した『Rovio Classics: Angry Birds』をリリースしました。しかしこのバージョンも2023年2月にGoogle Playから削除され、iOSでは『Red's First Flight』という名前に変わりました。
これから新しく始めるなら、継続的にアップデートされている『アングリーバード2』のように、現在サービス中の作品を選ぶのがいちばん手軽です。どの作品が配信されているかは地域や時期によって異なる場合があるので、ダウンロードする前に各ストアで確認することをおすすめします。