風の国(バラムエナラ):1996年から続く最古のグラフィックMMORPG
1996年にネクソンがサービスを開始した「風の国(バラムエナラ)」の誕生の背景、高句麗を舞台にした遊び方、名作とされる理由とリネージュへつながった影響、今遊ぶ方法をまとめました。
風の国(韓国語:바람의 나라/バラムエナラ)は、ネクソンが1996年4月5日に正式サービスを開始したMMORPG(大規模多人数同時参加型ロールプレイングゲーム)です。キム・ジン作の漫画『風の国』を原作とし、高句麗を中心とした三国時代の雰囲気を持つ世界で、大勢の人が一緒に狩りや冒険をします。
このゲームは、韓国のオンラインゲームの出発点とされています。2010年9月には「世界初の商用グラフィックMMORPG」としてギネスブックに登録され、2026年4月にはサービス30周年を迎えました。韓国語版ウィキペディアは、風の国を現在サービス中のグラフィックMMORPGの中で最も古いゲームとして紹介しています。
この記事では、風の国がどのように作られたのか、どのように遊ぶのか、なぜ名作とされるのか、そしてその後の韓国のゲームに残した影響と、今遊ぶ方法をまとめます。
ひと目でわかる概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| リリース | 1996年4月5日(韓国で正式サービス) |
| 開発 | ネクソン |
| プラットフォーム | PC |
| ジャンル | 2Dファンタジー・歴史MMORPG |
| 原作 | キム・ジンの漫画『風の国』 |
誕生の背景
漫画から生まれた世界
原作漫画『風の国』は、西暦18年から23年ごろの東アジアを舞台にした歴史叙事劇です。高句麗の第2代王・瑠璃王の息子である大武神王・無恤(ムヒュル)の征伐の物語に、その息子である好童王子と楽浪公主の恋物語が重なります。ゲームはこの戦争の物語をもとに世界を描きました。
1994年の企画から1996年のサービスまで
韓国語版ウィキペディアの沿革によると、風の国は1994年12月に企画を始め、1995年12月25日にベータテストを経て、1996年4月5日に正式サービスを開始しました。同じ年の11月には、インターネットプラットフォーム「iWorld(アイワールド)」を通じて無料サービスも始めています。
リネージュへつながった開発陣
風の国の初期の開発には、ソン・ジェギョンが参加していました。ソン・ジェギョンはその後NCSOFTで『リネージュ』を設計しましたが、英語版ウィキペディアによると、リネージュのサーバーソフトウェアは風の国のサーバーソフトウェアから分かれたものでした。韓国のオンラインゲームを代表する二つのゲームが、同じ根から生まれたことになります。
遊び方
四つの職業
風の国の基本職業は、戦士、盗賊、呪術師、道士の四つです。英語版の説明をもとに、各職業の特徴をまとめると次のとおりです。
| 職業 | 特徴 |
|---|---|
| 戦士 | 攻撃を複数のモンスターに広げて当てる能力を持つ近接攻撃型 |
| 盗賊 | 透明になる能力を持つ攻撃型 |
| 呪術師 | モンスターを麻痺させる能力があり、ソロ狩りに向いている |
| 道士 | 最も強力な回復魔法と、味方の強化・敵の弱体化魔法を担当 |
職業ごとに細かい進路が分かれ、一定のレベルに達すると、死・均衡・生命を象徴する三つの性向のうち一つを選べます。
四神と三国
プレイヤーは、青龍、朱雀、白虎、玄武のうち一つを守護動物として選びます。東洋の星座に由来する四神をもとにした設定です。ゲームの土地は地理的に韓国の三国時代に似せて作られており、国ごとに三つずつ、合わせて九つの村があります。村では費用を払って家を借りることができ、大きさに応じて異なる設計図で家の中を飾ることもできます。
レベル上限後の成長
レベル上限(99)に達しても成長が終わらない点も特徴です。上限に達した後も狩りで経験値を集め、それを体力、魔力、力、知力、敏捷といった能力値の永続的な上昇に換えることができます。
なぜ名作なのか
世界初の商用グラフィックMMORPG
風の国は、グラフィック画面の上で大勢の人が一緒に遊ぶ商用オンラインゲームを、ごく早い時期に実現しました。2010年9月に「世界初の商用グラフィックMMORPG」としてギネスブックに登録されたのは、こうした歴史的な位置づけが認められたものです。
韓国ゲーム初の海外サービス
風の国は、韓国のオンラインゲームとして初めて海外サービスを始めたゲームでもあります。
- 1997年10月:英語圏のユーザー向けに英語版のサービスを開始
- 1999年5月:アメリカで「Nexus TK」という名前で商用化
- 1999年7月:フランスで商用化
- 2000年9月:日本で商用化
- 2002年3月:インドネシアで商用化
フランス、インドネシア、日本でのサービスはその後終了しましたが、アメリカ版『Nexus: The Kingdom of the Winds』は今もサービスが続いています。ネクソンは、2020年時点でNexusの累計登録ユーザーが2,100万人だと発表しました。
人が中心のコミュニティ
英語版ウィキペディアは、Nexusの特徴として、2Dタイルのグラフィック、漫画のような絵柄、中心となるストーリーとともに、ユーザーの積極的な参加を挙げています。互いに顔見知りのユーザーが多い強い絆のコミュニティが、ゲームを長く支えてきた力だという説明です。
時代に合わせた変化
風の国は当初、利用料を払う有料のゲームでしたが、2005年8月にアイテム課金制(基本無料)へ移行しました。そのころには同時接続者数13万人を記録し、2011年7月には累計会員数が1,800万人に達しました。古いゲームが時代のビジネスモデルに合わせて変わりながら生き残った例です。
シリーズと影響
風の国が残した最大の影響は、韓国のオンラインゲーム産業そのものです。ネクソンがサービスしてきた最も古いゲームとして会社の歴史とともに歩み、開発に参加したソン・ジェギョンを通じてリネージュへとつながり、韓国MMORPGの大きな流れを作りました。
ゲームの歴史的な価値は、保存活動にもつながりました。2013年7月、ネクソンコンピューター博物館は、当時の制作陣とともに風の国の初期バージョンを復元すると発表しました。単にソースコードをよみがえらせるのではなく、初期バージョンの感性と哲学まで復元するという目標で、2014年5月に復元を終えてサービスを始めました。ゲームを文化遺産とみなして保存した、韓国では珍しい例といえます。
このほか、2008年12月には風の国の小説も出版されました。
今遊ぶには
風の国は、30年が過ぎた今もサービスが続いています。
- 韓国:ネクソンの風の国(バラムエナラ)公式サイトから無料でダウンロードして遊べます。2026年4月には30周年記念イベントが開催されました。
- アメリカ(英語):英語で遊びたいなら、『Nexus: The Kingdom of the Winds』の公式サイトを利用できます。
今の風の国は、30年間積み重ねられたアップデートによって1996年当時とは大きく変わっています。それでも、2Dタイルの画面と高句麗の世界、四つの職業と四神といった骨組みはそのままです。韓国のオンラインゲームがどこから始まったのかを肌で感じてみたいなら、一度はログインしてみる価値のあるゲームです。